この国に富を取り戻すのだとアメリカ第一主義を大きく掲げ、きわめて乱暴な物言いと危うい強硬姿勢を見せるトランプが大統領に就任してはや四ヵ月が過ぎた。 世界はこの人物が疲れ果てたアメリカの救世主として登場してきたのか、あるいは理解不可能なトリックスターであるのか、いまだ見極め切れていない。 浮足立つ世界を尻目にアメリカ経済は、トランプが打ちだす予定の大幅減税、公共事業投資、規制緩和などへの期待感から空前の株高、実質完全雇用の達成などトランプラリーに沸いている。少なくとも内外のメディアからはそう報じられている。 だが、それは単に表面をなぞっているにすぎず、トランプ景気はアメリカ経済を新たな危機に誘導しているのが実相である。 端的に言えば、アメリカはこの秋、株の暴落に晒される。 もとよりわたしは、自分の予測に基づいて一〇〇%のポジションは組まない。メインのシナリオはじめ常時四、五本のサブシナリオを立て、それらがどれほどの確率があるかに応じて、それぞれのポジションを組むのが流儀である。 ここではそのうちの二つの概略を示そう。 一つ目はメインストーリー。いまのアメリカで澎湃として渦巻くインフレ期待が現実化し、コストプッシュ・インフレを引き起こすというものである。これが、本書が上梓されるころから初夏にかけて本格化してくる可能性が大きい。 その最大の兆候は銅やメタルの先物価格が急上昇していることで、すでに製造業の仕入れコスト、さらに売り値に転化されてきている。怖いのはここからで、低失業率かつ労賃も上がっていることから消費者のデマンドも高く、そうしたインフレを起こすローテーションをなんなくクリアしている。これで本格的なインフレの扉は開け放されてしまう。 一方、FRBは小刻みな利上げを繰り返しており、この秋の今年三度目の利上げあたりで、マーケットはコストプッシュ・インフレにシンクロする高金利の到来を強く意識するようになる。こうなれば、量的緩和バブルの主役を務めた株は失速するしかない。高所恐怖症におびえていた株式市場は耐えられなくなり、暴落が始まる。 ここからのマーケットの関心は、コモディティ価格高騰が原油価格におよぶかどうかに絞られてくる。今年の年末にはそんな段階に達しているはずだ。 詳しくは本文を読まなければ、正確な理解はえられない。 (「まえがき」より抜粋) 著者について 米国在住。日・米・欧で30年以上第一線で活躍する辣腕ファンドマネジャー。一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了後、ドイツのケルン大学、イギリスLSEに留学。野村総合研究所研究員、ロンドンのチェース・インヴェスターズ、ニューヨークのAIGグローバル・インヴェスターズを得て独立。欧米ファンドのグローバル株部門でトップクオーターを続ける成績をあげる。これまで訪問した日米の会社は1500社を超え、その徹底した独自の取材力と現場主には定評がある。著書に『おカネの法則』『世界金融恐慌序曲』『2017暴走するマネー恐慌化する世界』他多数あり。 ※2017年5月現在のものです |
この商品の説明
著者/アーティスト
著者: 大竹愼一
目次
第1章 トランプラリーとアメリカ経済のゆくえ;第2章 回避できないトランプ恐慌;第3章 病めるアメリカが産み落とした大統領;第4章 日本の景気を読む;第5章 いま世界は選択を迫られている;第6章 観念論者と唯物論者;第7章 翻弄される日本
商品仕様
- アイテム名:書籍
- ページ数:215p
- 大きさ:19cm(B6)
- 出版社:徳間書店
- ISBN-10:4198644101
- ISBN-13:9784198644109
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